たのしくも悩ましき、春の夢

タカラヅカ、観劇前ランチ、ひとり暮らし

高らかに帆をあげて出航!眩耀(げんよう)の谷 ~舞い降りた新星~大劇場初日の感想

 

令和初のトップスター第一号、礼真琴!のお披露目公演初日を観てまいりました。

令和初の〜は、挨拶で柚長がまこっちゃんを紹介する時のセリフでしたが、柚長は毎公演いつも上手いことおっしゃるなあと思います。

 

いつもの如くチケットはないので、今回もまた当日券の列に並びます。

雪の初日は早朝4時半に行って、列が2回目の折り返しくらいでしたが、今回は同じくらいで列はまだ折り返しなし。数えてないけど30番目くらい。買えたのは立ち見の一桁台。よかったー。

大晦日に性懲りもなく雪組の当日券に並んだ時は、そんなに寒くなかったので油断してましたけれど、2/7早朝は極寒!氷点下2℃とかで凍えましたよ、もー。

まこっちゃんもお披露目のご挨拶で、今朝は寒くて家をでるか迷ったなんて言って盛大に客席を笑わせてくださいましたが *1(や、あーたのお披露目でしょっていう。。笑)本当に寒かったです。こんなに寒いのはあれだ、100周年のナポレオン以来だ。あの時もチケットなくて大晦日に並んだのでした。今も昔もビンボー。でも今も昔もたのしいぞ、っと。

あの時のまこっちゃんは新公でナポレオンの服装がちょっと大きめで、あまり似合ってなくて、でも演技だ歌だダンスだはめちゃめちゃ上手くて、というのが記憶に残っています。

今や男臭さも漂わせた、安定感…は昔からですね。立派なトップスターさんです。

やーでも、いささか立派すぎるという感もなきにしもあらず。トップ初めてです、初心者です、みたいな初々しさがまるでない、トップ3年目くらいに安定して見えるのがまこっちゃんらしいというか、なんともはや、すごいトップさん誕生です。

そしてそんな真ん中にひっぱられるのか、星組あるある〝初日は公開舞台稽古なんでよろしく〟感が全くなかった。けっこう驚愕。立ち回りもけっこう激しくあったのですが、手順感がまったくなくて、〝あーみんな頑張ってー〟って不遜にも心で思ってしまうってゆー、いつもの初日の感じがなかったです。真ん中が変わるとこんなに変わるのね…。

 

作品に関しては、2番手が不在というのはけっこう作劇に影響を及ぼすのだなあ、という感想でした。

愛ちゃんが文句なく正2番手なら、ひっとんと愛ちゃんの場面が一つくらいはあったはず。そしてひっとん演じる瞳花ちゃんを、権力でで手に入れた愛ちゃん(管武将軍)、そこにまこっちゃん(丹礼真)が割って入る、みたいな感じになったんじゃあないかなあ。タカラヅカ舞台の、わかりやすい三角関係を安心して眺めていられたはず。

でもこの作品はそうではないから、将軍の愛ちゃんと舞姫ひっとんは一度も劇中で一緒にいない。かつて妾にされて子供を産まされた、ってことがセリフで説明されるのみ。そう、説明セリフがやたら多いのよこのお芝居。演者が役になって感情を動かすのを観てこっちの心も揺さぶられるのが、観劇の楽しみの一つだと思うのだけど、説明ばっかされちゃ正直つまらない。

たぶん人事的に劇団の本命はせおっちで、でもお役は、これ下級生でもできるよね?って思っちゃった。貫禄の出せる下級生なら十分できるし、あるいは脇の上級生のお役だよ。

まこっちゃんの丹礼真(タンレイシン)は、本当は何者なのか!?という、いわゆる謎解きの要素もこのお芝居の魅力だと思うのだけど、せおっちはそこに絡んでくる重要なお役なんだけど、謎の種明かしがあまり効果的でないと感じたなあ。

せおっちの正体がわかったとき、エ、それ誰だっけ?ってなっちゃった。くらっちの正体も同じ。あー、そうなのねくらいで終わってしまった。おそらくヒトからヒトへ、世代を繋いで受け継いでゆく歴史、みたいな感動を狙ったのだろうけど、登場人物に感情移入できてないから、謎の開示が〝あっそうなんだ〟で終わりになってしまう感がある。もったいない。   

 

こうなっちゃっているのは、前述のとおり2番手不在でどこにストーリーの主軸があるのか不明だから、だと思う。主人公の丹礼真と上司の将軍とヒロインとの三角関係ではないし、主人公が誰なのかという謎解きでもなし。

トップスターのまこっちゃん以外は、みんな出ている比重が同じくらいで、同じくらい少なくて、十分に語られてなくて、だからまこっちゃんは誰と感情を戦わせているのだろう?ってなる。や、登場人物全部となんだけど、そうじゃなくて、誰との感情のやりとりが主軸のお話なんだろう、ってこと。

キャトルレーヴの上に東京宝塚劇場にはない、出演者の額縁入り写真がある。あれは学年順にきれいに並んでいるわけだけど、まこっちゃんは真ん中あたりなんだね。

ひっとんは右の端っこ。まこっちゃんの左にはずらっと上級生が並んでいて、つまりそれだけ出番とセリフが必要なひとがわんさかいて、今回は退団する専科のみつるくんもいて、こりゃーきついわ、と思った。

それだけセリフと主要な登場人物の多さという縛りがあって、かつ破綻なくお話を作るのは大変だったんだろうな、あーこりゃ難しいわと思えた。

でもこう書くとまるでみつる君が出てるのが悪いように聞こえるけど、決してそんな気持ちはないです。

みつる君は花組出身の専科さんなのにも関わらず、星組を何年も何年も支えてくれたスターさんだ。星で退団を選んでくれたのは嬉しい。むしろなんでこのお役なんだ、というちょっと悔しい気持ち。みつる君ならもっとふさわしい最後があったろうに、このいつもの通常公演の特別出演みたいなお役で本当にもったいない。

なんで今なのかなー。お披露目とかじゃなく、通常の公演なら、もっとみつる君にふさわしいお役と場面がついただろうに。

 

丹礼真の丹は赤い色だ。まこっちゃんのテーマカラーなのかな?知らんけど、ガチなファンのひとはご存知なのでしょう。

公式グッズも赤と黒で、デザインもかっこいい感じです。でも個人的にはまこっちゃんには男らしさ、かっこよさより、娘役もキュートにできてしまう可愛らしさ、を期待しちゃうんだけどなあ。

タカラヅカ初シシィ主演のエリザベート!ができるのはまこっちゃんしかいないと思う。オリジナル作品なら断然、小柳先生に作ってもらいたい!小柳先生って一貫してまこっちゃんのイメージは可愛い少年だよね。ルーチェ君もケンサンウンもリーロンロンも。ムケーシュはおっさんだったけど、それはまあ原作がそうだから仕方ない。(あれもまこっちゃんの激しいダンスナンバーの直後でもブレない歌唱力に舌を巻いた公演だったな)

じゅりぴょんが言ってたみたいに、タカラヅカでコナン君を演れるのはまこっちゃんだけ!と思うんだけどな。とりあえず劇団の(あるいはご本人の)目指すとこは違うみたいだ。ちょっとムー、と思う。

 

あとはおそらくファンが気になるポイントのひとつ、階段降り。愛ちゃんのお芝居の扱いの小ささの割にはしっかりした2番手羽をつけて、2番手位置で降りてきたのが、意外や意外。トップコンビ以外は羽なしかと一瞬覚悟してたよ。よかったよかった。でもみやちゃんの例があるから、劇団的には羽と組内の立ち位置はリンクしていないつもりなのかもしれない。

階段降りは桜庭舞ちゃんエトワール、極美慎くん(下手)と天華えまちゃん(上手)新公主演経験者コンビ、組み替えで来た綺城ひか理さんと2番手娘役有沙瞳ちゃん、瀬央ゆりや君が羽なしで1人降り(3番目?)、みつるくん羽なし1人降り、愛月ひかる2番手羽、トップ娘役舞空瞳、トップスター礼真琴の順でした。

真っ白でみんな綺麗。トップコンビは婚礼衣装ですか?そういうことでよいですか?って感じ。

個人的には下手ダブルトリオに瑠璃花夏ちゃんがいたのが嬉しい。(ショーでもラインダンスの前に銀橋渡っていてキャーってなった。初銀橋かな?)

あと細かいことだけど、先代の舞台では2番手のまこっちゃんとトップ娘役のあーちゃんが銀橋から本舞台にもどってきたあと、定位置につく前に2人息を併せて背中の羽をひるがえして同時に位置についていたのが、優雅で美しくて目にも鮮やかだったんだけど、ひっとんと愛ちゃんはやっぱりやってなくて、ちょっとだけ残念。あれはまこっちゃんとあーちゃんの一期違いの予科本科の息の合わせ方、だったのかなあ。他の組でも特にやってないもんね。

 

コロナウイルス関連にも。ホームページのお知らせにも出ていたけれど、客席降りでのハイタッチと握手は禁止です。知らないひともいたようで、手を出している人たちたちらほら。でも全体では圧倒的に少数派でした。通路脇で誰かが手を出すと、つられて出しちゃうよね。一部でそんな感じでした。

まこっちゃんは下手中扉から出て来て、頭の上で手を叩いて笑顔を振りまいてました。他の組子もニコニコで手を叩くのみ。現実世界では恐ろしいウィルスが漂ってるいるけれど、そうよねここは夢の国。ひとときの夢を見にくる場所。客席もそれを理解してこの場所をみんなで守るんだ、という空気を個人的には感じました。それはそれでよいものです。ウィルス自体はよろしくないけれどもね。

 

新生星組、安定しすぎてトップコンビにあまりフレッシュさはないけど、劇団からいちいちアジアを背負わされて大変そうだけど(多分アジア市場を見据えた戦略なのでしょう)、上級生いっぱいで今後もオリジナル作品で面白いものは難しかもだけど、でもそれを補ってありあまる魅力的な組とトップスター、トップ娘役だと思いました。

帆をあげて、高らかに出航!よい旅を。たくさんの冒険と夢を観せてくれると信じてます。

*1:

寒くて家を出るのを迷うくらいでしたが、に続けて劇場に来れば熱くポカポカになります!とおっしゃってました。(カーテンコール2回目?)

先ほど劇場にくれば暖かくなりますと言いましたが、外は寒いと思います。お気をつけておかえりください。(カーテンコール最後)

家を出るのを迷う、のくだりがタカラヅカニュースではカットになっていたので、最後のカーテンコールの、外は寒いのでお気をつけて〜の直前もカットになっておりました。

笑わせておいて自分で回収するのが、まこっちゃんますます挨拶もうまくなってるなあと思いました。