たのしくも悩ましき、春の夢

タカラヅカ、観劇前ランチ、ひとり暮らし

舞台は役者を見にいくモノ。星組大劇場新人公演『眩耀の谷』観劇!

 

星組大劇場新人公演『眩耀の谷』観て来ました〜。結果はひとこと、めっちゃ面白かった!

 

主演は初主演となる碧海さりお君(研5)。

とっても初々しく演じておられました。芸達者というファンのイメージを裏切らない安定感と、新公ならではのフレッシュさを爆発させてました!

子供を失った瞳花ちゃんを力づけるところ、思わず引き込まれて涙しちゃったなあ。

髪型のせいもあるけれど、沖田総司って感じでした。少年以上、青年未満。

この初々しいく演じられるお役っていうのがおいしいな〜と。

どういうことかというと、本役を演じるのはもちろんトップスターまこっちゃん。まこっちゃんはトップの看板も背負っているので、多分だけど、あまりに初々しく演じられないのだと思う。

礼真をちゃんとトップスターのお役に見せなければならない。トップとしての貫禄や存在感を示しつつ役として舞台に立つ必要があるんだ。

まこっちゃんの丹礼真に違和感を感じたことはない。むしろ若々しいまこっちゃんにぴったりのお役だと思った。

でも、いかにも新人です!若者です!って初々しさで、のびのび演じてるさりお君を観ていると、ああ本来はこういうお役なんだと納得できた。

さりお君の礼真はとっても無邪気で明るくて、ほとんど少年に近い。序盤でキラキラ、仲間とキャッキャはしゃいでいる少年が、現実世界の裏も知って少し大人になるお話にも見えました。

さりお君の可愛らしい礼真に舌を巻きつつ、まこっちゃんは本公演で「若者」と「トップスター」を同時に舞台に出現させているんだなあって気づいて、それってさらっと見過ごしてまっているけど、実はすごいことだなーと。

あと、新人公演で主演をするならこういうお役の方が(比較的)演じやすいのかもなあ、と思いました。少なくとも黒豹のオダリス大佐(だっけ)みたいな円熟期のトップスターの色気と渋さを最大限に引き出す(という目的で作られた、と想像される)お役よりは演りやすいんじゃないか。そういう意味でもおいしいなーと。

 

瞳花ちゃん役の桜庭舞ちゃんも、さりお君に負けず劣らず、まってました!感がある、ようやくの初ヒロイン。組替えで星に来てから今まで、本公演のショーで目立ちまくっている印象があるけど、初のヒロインなんですねえ。本当に意外。

桜庭舞ちゃんは持ち味がお姉さんだから、さりお君の一期上ということもあって、ヒロインでかつ子を失った母親というお役にぴったりでした。ひっとん自身はお姉さんというより少女の持ち味が強いから、どちらかというとお顔立ちが華やかで大人っぽい桜庭舞ちゃんの方が似合っているお役だと思う。でもそれを差し引いても本当に上手くて引き込まれました!

目が見えない、という表現をしっかりしている印象。礼真を探して宙に手をさまよわせるのが、すごくリアル。

正直どうしてヒロインの目が見えない設定にしたのか未だによく分からないのだけど、(哀れさをさそうため?)

桜庭舞ちゃんの瞳花ちゃんは、母親の強さと、目が見えなくていつも誰かの補助を必要とする、守ってあげたくなる感じ(この表現は適切でないかもだけど)

その二つが合わさってなんともいえない魅力的なヒロインだなあと思いました。

あと、最後に2人で立つ時も、目の見えない瞳花とそれを気遣う礼真という感じがすごくしました。

礼真が瞳花に手を差し伸べるのがなんか自然でいい感じで、2人の間に時の流れを感じるの。しばらくの時がながれて2人の間に子供ができたあと、ていうのがその仕草に現れていて、ああいいなあっていうか、見事だよなあ(新公だよね?)と思いました。

 

天飛華音ちゃん、謎の男。ちゃーんと謎の男に見えました。何かをしゃべったあとの、なんか含みのある感じ。言うことを残して全部言わない感じ。こいつはナニモノ?と観客の意識に引っかかりを残していく感じ。笑いをとるとこも、本役さんとは変えて笑いを取っていて、うまいなあと思いました。っていうか、「桜花に舞え」の「イワクマでごわす」の一言からずーっとうまいよね、華音ちゃんって。もーいっかい、もっとシリアスなドラマで主演を観たいよなあ。

 

極美慎ちゃんの管武将軍。ビジュアルは本役さんにも負けてません!

そして演技の方も、こんな言い方は失礼だけど、上手くなっているよね。ますます拙さがなくなっていく、というかナチュラルに、どや〜あっと舞台に立つ感(わかります?笑)存在感と自然に舞台に居る感じが、ますます増しているなあと思いました。

初主演された時は手に汗握る、というか相手役さんも手に汗握る系だったんで、本当に客席が固唾をのんで見守っていた感があったので…。ああ懐かしいなあ。綺麗です。美しいです。とにかく。今のトップさんのお役を演るのは難しいと思うけど、真ん中で輝くヒトだよ、ほんとうに。

 

夕陽真輝ちゃん、宣王。お歌がうまいので定評があるけど、やっぱり上手かった。でもおひげで顔が隠れちゃっている感がもったいない気も。最初誰だかわかんなかった。それにしても、下級生みんな歌上手いよね。あまりでかい声では言えないけれど、コーラスも本公演より迫力ある様に感じました。素晴らしかったです。

都優奈ちゃんだと思うんだけど、最初の村でのソロも、すっごく聴きやすくて物語に引き込まれる感がありました。

 

今回お顔をしっかり認識したのが、紘希柚葉くんのカイラ(円刀)と御剣海くんのクリチェ(矢と矢筒)。お二人ともお顔は今までモブで散々観て来たけれど、カッコいいお役で認識したのは初めてだと思う。こういうザ・カッコいい男役みたいなお役、ファンは嬉しいでしょうね。わたしはファンじゃないけど、いかにも美男子2人で、嬉しかったです。

「どうする?」「お前の考えてるのと同じだ」「じゃあ行こう」みたいなやり取り!!(うろ覚え)

ナニこの萌えセリフ。柚葉くんと海くんにノックアウトされた…とまでは言わなくても、軽く目が覚めましたー。

少なくとも今後の本公演を見る時の、オペラを向ける範囲に多大な変革が起きそうです。お二人を積極的に探すと思うの。

 

あと本公演のダブルトリオではいつも目がいっちゃう瑠璃花夏ちゃんの、ナレーター春崇ちゃん。本役さんは、こういうお役をするには今まで散々汚れ役とか、個性的なお役を演じすぎている様に思っていたので、(演技力に対して役が不足しているように見えて物足りない)初めての大役をまかされた瑠璃花夏ちゃんには、このヒロインじゃないのに、ヒロインヒロインしたお役がぴったりに感じました。

いかにも鈴の鳴る声、っていう感じでしゃべるのがうまい。お歌もうまい。うまいけど物語の外にいるお役だから出しゃばらないうまさで、なんというかすべてがちょうどいい、という感じ。

 

舞台って、お話じゃなくて役者を見に来るものだ、っていうのが一理あるなあ、とつくづく思える新人公演でした。

 

ところで客席の本役さん*1たちはもちろん、客席でもマスク目立っていましたね。早く終息してほしいですけど、こればかりはどうしようもない。うがい手洗い除菌スプレーマスク、あとは祈るだけ。今年の宝塚の舞台が何事もなく運営されてほしいものです。

*1:余談ですが、学年順で入場されてました。だからひっとんは一番最後。かつて月組のちゃぴちゃんがした様に出演はしないのですね。この辺ってどうやって決まるんだろう?個人的にはトップコンビが並んで観劇するの、微笑ましくみちゃったりするんですけど、、まあ上級生には観劇もお仕事ですもんね。勝手な期待は御門違いでしょう。学年順だからまこっちゃんも真ん中で、ああほんとーに若いトップさんだなあとキャトルレーヴの上を見上げる度に思うことを、ここでも思ったのでした。