「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」を観てきました
ちょっとネタバレあり
- 舞台の様な楽しさ
- 特殊メイクはやっぱり見事だった
- 女性が活躍しにくい時代の物語
- 地下鉄のシーンが腑に落ちなくて困る
- 関連作品いろいろ
- ミッドタウン日比谷にあるTOHOシネマズ日比谷の感想
- チャーチルの格言(ブロガー向け)
舞台の様な楽しさ
チャーチルで第二次世界大戦いうと、バトルオブブリテンが有名だから、出てくるかと思ったらでて来ませんでした
そういう派手な戦闘シーンはなく、政治の場の描写がほとんどでした
チャーチルの演説力や、奇人ぷりをエンターテイメントとして見せている
というか、ゲイリー・オールドマンの変身っぷりを堪能する映画なのだこれは
だってチャーチルは結局、政治家として天才的な人物だったのか、時代がたまたま彼を選んだだけなのか、結局よく分からなかったんです
この映画はどっちの解釈で描いているんだろうなと思って観ていたけど、そういうのはどうでもよくて、ゲイリーオールドマンの演技がほとんど全てでした。そう意味では舞台っぽい映画だなと思う
実際、舞台っぽい演出もありました。3つある扉が次々に閉まって、周りにいた人々が癇癪を起こしたウィンストンから逃げていく所とか、ファニーな演出が印象に残ってます
すごくカメラワークも凝ってました。でもちょっと凝り過ぎかなあと思った。お!とか思うたびに、現実に引き戻される感があったので
例えば、やたら上空から真下にいる人物や風景を撮るアングルが多かった。あ、また出てきたこの表現、といちいち思ってしまって、物語になかなか入り込めませんでした
でも素敵だと思ったのは、少年が片手を望遠鏡の様に丸めて空を見上げ、次のカットで筒状に丸めた手の円の中を飛行機が飛んでいく、といったような凝ったシーンがあった。どうやって撮ったのだろう?
特殊メイクはやっぱり見事だった
そして素人目にもすごいなあと思わせるのは、特殊メイクには見えないことです
言われないと分からない。というか、前知識なければゲイリー・オールドマンだと気づかないかも
「めぐりあう時間たち」のニコール・キッドマン並みに別人の顔
あれは付け鼻でしたが、こちらは目以外は全部なんかくっつけてる(?)と思うくらい、わたしの記憶の中のゲイリー・オールドマンの面影なし
大きく肥えた顔の肉、その効果で丸い目玉が異様に目立ち、ただ者でない感がパワーアップしている様に感じました
大画面で観た方が面白いかも
こうしてメイクも鑑賞するという所も舞台っぽいなあと、再び思う
エンドロールでメイクアップアーティストの辻一弘のお名前が出て、小さく拍手している方もいましたし、辻さんのお仕事目当てで観に来ている方も相当いそうな感じでした
女性が活躍しにくい時代の物語
国会も政治の場はすべて白人男性しかいない。それは時代だから仕方がないのだけど、女性の描き方が、まあこうするしかなかったのかなと思うけど、辛い
タイプライターの女性を主要キャラにしていたけど、彼女の役割は結局、ウィンストンを励ますだけ。要は〝チアリーダー〟である
演じるリリー・ジェームズはダウントン・アピーにも出ていた好きな女優です。でもこの映画における彼女の役割は、その利発そうな感じを振りまくことだけに見える。もうちょっと、格好いい役で彼女の演技を観たいなと思ってしまった
時代が時代だから、女性が活躍しにくいストーリーなんですけど、その辺は制作側も分かっているみたいで、ウィンストンの妻に〝我々の小さな犠牲の上に、この偉大な瞬間がある〟(チャーチルの首相就任にあたって、家族で乾杯の場で)と言わせたりしている
〝小さな犠牲〟と彼女は言うが、言葉通りにとるなら謙虚な女性なんだけど、ちょっと皮肉めいて聞こえた
演じるクリスティン・スコット・トーマスは素敵。一番最初のミッションインポッシブルを劇場で観たときは、大人の女性の魅力が服着て歩いているみたいで優雅でうっとりしたのを思い出した。全然変わらない優雅さ
地下鉄のシーンが腑に落ちなくて困る
なんだかすごく気持ち悪かったのは、それまでの生涯で一度も電車に乗ったことがないチャーチルが地下鉄に乗るシーンだ
びっくりした庶民が近づいてってチャーチルに挨拶をする。チャーチルは皆に気さくに話しかけ、ドイツと講和することについて意見を聞く。皆、口をそろえて〝never〟(決してしない)という
それはいいんだけど、そこにいるのが、言い訳の様に女性たちが多い。黒人男性も1人いたと思う
政治は白人男性のみでやる。そこには戦争反対派もナチスに徹底抗戦派もいる。けれど、マイノリティも含めた〝民意〟はナチスと戦うことだったのだ、とでも言いたげな。。
や、その通りだったのかもしれないけどさ、戦争を始める責任はやっぱり政府、権力側にあるんじゃないか。権力を握っているのは白人男性なんだから、責任も白人男性にあるだろう
結局イギリスは勝ったからいいけど、負けてたらどうなっていたんだろう
民衆にも責任があった、ということになるんだろうか。情報が制限されていて、全てを知らされていないのに?
チャーチルは聞いたみんなの名前をマッチ箱にメモっていて、それを使って演説に説得力を持たせるんですよね。今日出会った〇〇さんは、ナチスに支配されるのは望んでいなかった、とか、ちょっと都合よく話を盛って。
盛るのはいいさ、そのしたたかさも必要だし、ちゃっかりしていてキャラが立っていていいと思うし、言葉の魔術師っぷりも表現される
でも何だかその魔術に気持ちよく乗れない自分がいる
押せ押せで民衆に真実を知らせず、戦争に突き進んでいったって、まるでこの時代の大日本帝国みたいなんですけど
日本はこの後、ドイツがバトルオブブリテンで、イギリスに事実上負けたことを知らないで、太平洋戦争に突入しちゃったんですよね
要は最後に勝てば、押せ押せで戦争に突き進んでも正しかったということ?
イギリスは本土を侵略されそうだったから迎え撃つのは正しい?
でも日本だって経済封鎖されて、戦争に突入するしかなかったという側面もある
よく分からない
えーい、ごちゃごちゃ考えずに、映画を楽しみたいのだわたしは!
この映画はつくりはエンターテイメントなのに、観ているうちに、輝かしいイギリスの勝利と日本のその後の運命と比較してしまって、手放しで物語に酔えなくなってしまったよ
関連作品いろいろ
英国王のスピーチ
楽しかったのは、今まで観た映画に出てきた人物、出来事が登場したこと
このひと知ってる!とか思うと嬉しい(単純だ)
チャーチルの〝友〟になるジョージ6世
ダンケルク
ダンケルクの戦いをリアルタイムで体験するならこちら(怖いです)
今回の「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」はこの「ダンケルク」の最中、その時本土イギリスでは何が起こっていたのか、という視点でも楽しめた
ザ・クラウン
ウィンストン・チャーチルのその後に興味があるならこちら
ジョン・リスゴー演じるチャーチルは奇人の感じはなく、もっと普通のひとです
時代はジョージ6世の娘、在位中のエリザベス2世の物語
(というか存命の君主を主人公にドラマ化ってすごい)
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ミッドタウン日比谷にあるTOHOシネマズ日比谷の感想
ポスターを撮ろうとしたんだけど、普通はあっちこっちにあるポスターが全然なくて少し意外に思いました
全体的にシックにしたかったのでしょうか。映画のポスターって色々あると、色がごちゃごちゃしますもんね
見渡したところ上映中の映画の表示は、チケットを確認してもらう入り口のこの小さい表示だけでした
他のところにもあったかもしれないんですけど。。
少なくとも今この映画館で何を上演しているのか、パッと見は分かりませんでしたね
ふらっと来て観るひとにはやさしくない造りかも
売店のところはさすがに映画館という感じ
どーんとポスターがあるのはここだけでした
映画館は4階です。ミッドタウン日比谷はオープンしてから間もないためか、平日でも大変混んでいるので、エレベーターがなかなか来ません
地味にエスカレーターで4階まで上がるのが良いです。ちょっと面倒だけど、結局近道な気がします
チャーチルの格言(ブロガー向け)
成功も失敗も終わりじゃない
大事なのは、続ける勇気だ
Success is not final,failure is not fatal
it is the courage to continue that counts
映画の最後に黒い画面になって上記が出て来て、うっと現実に引き戻されました(笑)